橋本行政書士事務所
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新会社法について
(平成18年5月1日施行)


項 目 解 説 法令・条文等
1 会社法改正の経緯  会社法は、平成17年6月29日国会で可決成立し、平成17年7月26日公布され、平成18年5月1日から施行されました。
 また、平成18年2月7日には、会社法関係法務省令(会社法施行規則、会社計算規則、電子広告規則)が公表され、会社法の全体像が明らかになりました。
2 会社法の形式面と実質面 (1) 会社法改正の形式面としては、
@条文の口語化・現代用語化、
A旧法令(商法第2編、有限会社法、商法特例法、商法施行規則)の統合、
B条文序列の体系化の3点があります。
 
(2) 会社法改正の実質面としては、
@この間続いた商法改正により生じた制度間の矛盾を解消し、整合性を確保するようにしたこと、
A各制度の抜本的見直しを行なったこと。たとえば、有限会社制度を廃止し、株式会社制度へ一本化したこと、最低資本金制度を廃止したこと、機関設計の柔軟化を認めたことなどです。
 3 会社法改正の視点  詳しくは、法務省(民事局)見解を参照してください。以下ではその要点を項目的に列挙しておきます。
@ 利用者の視点に立った制度の見直し
  ・株式会社と有限会社の株式会社への統合
  ・設立時の出資額規制の撤廃
  ・事後設立規制の見直し
@ 会社経営の機動性・柔軟性の向上
  ・組織再編行為に係る規制の見直し
  ・株式・新株予約権・社債制度の改善
  ・株主に対する利益還元方法の見直し
  ・取締役の責任に関する規定の見直し
B 会社経営の健全性の確保
  ・株主代表訴訟制度の合理化
  ・内部統制システム構築の義務化
  ・会計参与制度の創設
  ・会計監査人の任意設置の範囲の拡大
C その他
  ・新たな会社類型(合同会社)の創設
  ・特別清算制度の見直し

 特徴としては、「利用者の視点に立った制度の見直し」を第1に挙げている点です。会社に対する規制の面ではなく、「会社を作り易くかつ使い易くする」という発想を基本に置いているといえます。
4 会社の種類  以下のように、会社法では、有限会社を株式会社に統合したこと、持分会社という概念を認めて、その中に合同会社という新しい会社形態を認めたことが特徴です。

改正前商法  会社法
株式会社(商法) 株式会社
(有限会社を吸収)
有限会社(有限会社法)
合名会社(商法) 持分会社(新名称)
  合名会社
  合資会社
  合同会社(新設)
合資会社(商法)

   
5 会社法での会社の種類・分類 以下の、会社概念は会社法でのキーワードとなりますので、留意してください。
□株式会社と持分会社
 持分会社とは、合名会社、合資会社、合同会社のことです。

□特例有限会社(「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)
 特例有限会社とは、既存の有限会社のことで、整備法により認めれた会社のことです。

□公開会社と非公開会社
 非公開会社とは、全部の株式について譲渡制限をしている会社のことで株式譲渡制限会社をいいます。全部の株式について譲渡制限をしていない会社はもちろん、一部でも譲渡制限のない株式がある場合は、公開会社となります。

□取締役会設置(非設置)会社と監査役設置(非設置)会社 
 取締役会設置会社とは、機関構成として取締役会を設ける会社をいい、監査役設置会社とは、機関構成として監査役を設けない会社をいいます。それぞれ設置または非設置があります。
公開会社では取締役会の設置は義務付けられ、その場合監査役も設置しなければなりません。

□ LLCとLLP
 LLCは合同会社のことで会社のひとつですが、LLPは有限責任事業組合のことで会社でなく法人格はありません。どちらも社員・構成員の有限責任と内部自治が認められる点では共通します。



会社法のポイント解説(簡略版)

1 はじめに

  新会社法は、平成17629日の国会で成立し、726日に公布されました。施行は平成185月1日です。今回の改正は抜本的な改正であり、実務的にも多大な影響が予想されるます。そこで、この機会を利用して、新会社法についてどうしても知っておかなければならないポイントを押さえましょう。

2 新会社法制定の基本(改正の形式面と実質面)

改正の形式面

条文を口語化(ひらがな表記)

4 つの法令を「会社法」という一つの法律にまとめる

改正の実質面

各制度間の整合性を図る

各制度の内容を抜本的に見直す

 まず、形式的には、会社法の現代語化(ひらがな口語化)により、より国民に親しみやすくしたことと、従来の商法典中(第2編)にあった「会社」に関する規定と有限会社法とを合わせて独立の「会社法」という法律を作ったということです。不思議に思われるかも知れませんが、これまで「会社法」という名称はあくまで講学上のものであり、「会社法」という法律そのものはありませんでした。
 次に、こちらが重要なのですが、実質的な内容に及ぶ改正が相当多数に及び、商法の抜本
的な改正といってよいほどの内容をもつことです。それは、この間続いた度重なる商法改正により生じた制度間の整合性を図ること、そして、「会社法制の現代化」にふさわしい内容の実質的な改正をしたいという実務界からの要望に応える内容であることです。

3 有限会社制度の廃止と株式会社への一本化

  (1) 新会社法の施行後は、有限会社を設立することはできなくなる!

          現行商法                     新会社法

株式会社

 

株式会社

有限会社

合名会社

持分会社

合名会社

合資会社

合資会社

合同会社

    

 今回の改正の最大の目玉と言ってよいでしょう。会社法施行後は、有限会社はなくなり、株式会社に一本化されます。ただし、株式会社の中に株式譲渡制限会社という形態を設け、これまでの有限会社とほぼ同様の取扱いを可能とします。つまり、新会社法は、株式会社の中に大規模公開会社から小規模閉鎖的な会社までさまざまな組織形態を設け、その規模に合った柔軟な取扱いを可能としたのです。

 (2) すでに設立されている有限会社はどうなるのか?

        現在の有限会社                  新会社法

有限会社

自動的に特例有限会社として存続(「整備法」)

※定款変更・登記申請の必要はない

株式会社に組織変更する(いつでも可能)

※必要な手続きは3

 @ 定款変更(株式会社への商号変更)

 A 特例有限会社の解散登記

 B 株式会社の設立登記

 新会社法施行前に設立されている有限会社は、新会社法施行後は、自動的に新会社法の規定による株式会社として存続することになります。つまり、株式会社に移行するに際し、定款変更や登記申請等の手続きを経ることなく株式会社となれるのです。ただし、これには「会社法の整備に伴う関係法律の整備に関する法律」(「整備法」)による経過措置があり、現行の有限会社法の下での規律とほぼ同様の規律の下で運営することが認められます。
 たとえば、引き続き有限会社の商号使用が可能である、取締役任期の最長限度(
10年)の適用なし、決算公告が不要である、などが認められます。これを「特例有限会社」といいます。「名前は株式会社、でも中味は有限会社」ということです。この特例有限会社は、いつでも定款を変更して株式会社に商号変更することにより、特例から脱却することも認められています。

 (3) 特例有限会社と株式会社はどちらが得か?

特例有限会社のメリット

株式会社のメリット

@ 決算公告義務がない

A 役員の任期がない

B 慣れ親しんだ商号を使用できる

C 商号変更に伴うコストがかからな

@ 取引先に対する信用力の向上

A 従業員採用における信用力の向上

B 官公庁からの受注の際の信用力の向上

C 公的機関・金融機関などからの融資に際し
 て株式会社であることが条件となること
が ある

 では、現在の有限会社は、経過措置により特例有限会社として存続するのがよいのか、それとも株式会社に組織変更すべきなのかはなかなか悩ましいところです。

 株式会社になるメリットは、@取引先に対する信用力の向上、A従業員採用における信用力の向上、B官公庁からの受注の際の信用力の向上、C公的機関・金融機関などからの融資に際して株式会社であることが条件となることがある、などの点です。デメリットは、@決算公告義務が課せられる、A役員の任期の規制が生じる、などという点です。
 両者のメリット・デメリットをよく検討し決定すべきでしょう。ただ、一言加えるならば、決算公告も会社のホームページでの計算書類の公開で可能ですし、株式譲渡制限会社であれば、役員の任期も最長
10年ですから、それほど大きな負担でもないでしょう。

4 最低資本金制度を廃止

         現行商法                新会社法
株式会社  最低資本金1,000万円

規制なし(最低資本金制度は廃止)

※文字どおり「1円会社」が作れる
確認会社も最低資本金を満たす必要はない

有限会社  最低資本金 300万円
新事業創出促進法による1円(確認)会社

 この点も今回の改正の目玉です。現行の商法では、最低資本金として、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円必要ですが、この最低資本金制度が撤廃されます。したがって、資本金1円の会社設立が可能となります。ちなみに、現在「新事業創出促進法」によって、1円会社の成立はすでに可能となっていますが(これを「確認会社」といいます)、これによると設立後5年以内に法定資本金を整えなければなりません。しかし、新会社法施行後はこの規制もなくなり、5年以内の増資の必要もありません。創業がこれまでにも増して、さらに容易となります。ただし、定款変更とそれに伴う変更登記の手続きは必要となりますので注意してください。
 最低資本金制度の撤廃は、設立時のみならず、設立後の資本減少でも適
用されますので、欠損てん補や剰余金の増加などのために活用が可能となります。

5 発起設立では銀行の払込金保管証明が不要に

        現行商法                新会社法
会社設立に銀行の払込金保管証明が必要

発起設立  銀行の払込金保管証明は不要

      残高証明でOK

募集設立  銀行の払込金保管証明が必要

 現在、会社設立にとって銀行の保管証明が必要となっていますが、保管証明に時間がかかり不合理であるとの要請に応え、新会社法では、発起設立においては保管証明は不要となり、銀行の残高証明で足りるとされます。これにより、資金の早期(設立前)活用が可能となります。ただし、これはあくまで発起設立に限り、募集設立ではなお保管証明が必要ですので注意してください。

6 会社の機関設計が自由になる

 新会社法では、株式会社の機関設計はかなり自由になります。もちろん、株式会社である以上、株主総会と取締役は最低必要ですが、株式譲渡制限会社とそれ以外の会社に分けた上で、両者の機関設計が多様化します。すなわち、株式譲渡制限会社では、取締役会・監査役の設置は任意であり、極端な例では取締役がたった一人の会社も認められることになります。
 これに対して、大会社を除く株式譲渡制限会社以外の会社では取締役会の設置は必要であり、
監査役(または監査役会)設置・委員会設置・会計参与設置のいずれかを選択することになります。また、公開会社でかつ大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)は監査役会と会計監査人の設置が義務となります。このように、多様な機関設計が可能となるため、実際の会社規模・株式公開の必要性の有無などに応じて、適切な機関設計を検討することが重要です。

7 新しい会社形態(合同会社=LLC)の誕生、LLPとの比較
 
 合同会社(
LLCLimited Liability Company)とは、出資者の有限責任が確保されながら、内部関係においては自由な合意に基づく組合的規制がなされる会社をいいます。株式会社の利点と合名会社の利点を組み合わせたような会社です。
なお、これに類似するものとして、有限責任事業組合(
LLPLimited Liability Partnershipが「有限責任事業組合契約に関する法律」によって平成1781日から認められました。
LLCとの違いは、@法人格を有しない、A構成員課税の適用があるという点です。 
 

8 最後に
 
 以上、新会社法のポイントを駆け足で説明してきました。今回の改正は実務的にも非常に
重要ですから、施行されるまでに学習を継続するようにしてください。  
                                                                        以 上

【追 記】
 平成18年2月7日に、「会社法施行規則」「会社計算規則」「電子公告規則」が公布されました。施行日は新会社法の施行日と同一です。これで新会社法の全貌がほぼ明らかになりました。詳しくは、下記法務省のサイトで閲覧できます。
 http://www.moj.go.jp/

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