橋本行政書士事務所
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NPO法人設立





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Q2 NPOの定款で残余財産の帰属先の規定の仕方を教えてください。(2014年6月10日記)

A2 NPO法人が解散したときは、定款の定める帰属先に残余財産を譲渡することができます(法第32条第1項)。帰属者は、誰でもよいわけではなく、次に掲げる者の中から選定する必要があります。
@他の特定非営利活動法人
A国又は地方公共団体
B公益財団法人又は公益社団法人
C学校法人
D社会福祉法人
E更正保護法人
 帰属先の定め方は、「〇〇法人」のように既存の法人を個別的に特定することが原則です。ただし、@〜Eに該当する限りは、抽象的な規定でも認められます。
このような例としては、「第〇〇条 この「法人が解散(合併又は破産による解散を除く。)したときは、その残余財産は他の特定非営利活動法人又は〇〇法人で当法人と目的を同じくするものに譲渡するものとする。」などです。
 定款に残余財産の帰属先の定めがないときは、清算人は所轄庁の認証を得て、その財産を国又は地方公共団体に譲渡することが可能です。帰属する者の規定があっても、その法人がすでに消滅している場合も同様です(法第32条第2項)。
 以上によって処分されない財産は、最終的は国庫に帰属します(法第32条第3項)。
Q1 社員総会の決議によるNPO解散で注意する点は何でしょうか。(2014年6月10日記)

A1
1 解散事由
 NPOの解散事由としては、ア)社員総会の決議、イ)定款で定めた解散事由の発生、ウ)目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能、エ)社員の欠乏、オ)合併、カ)破産手続開始の決定、キ)法第43条に規定する設立の認証の取消しの7点です。このうち、アのように社員総会決議により解散することは可能です。
2 解散決議
 解散の決議については、特別決議(総社員の4分の3以上の承諾)が必要となります。母数は「総社員」です。普通決議のように「出席社員の過半数」ではありません。ただし、定款で別段の定めがある場合はそれによります。
 解散総会で決議する点は、@解散することの意思決定、A残余財産の帰属先、B清算人の選任の3点です。Aについては、定款に明記してある場合は必要ありません(ただし、定款の規定が「解散総会で決定する」としている場合はなお必要です)。Bについては、特に解散総会で定めないときは、理事が清算人となり、また定款で別の定めがあるときはそれによります。
3 解散届の提出
 解散事由のうちア・イ・エ・カで解散する場合は、「解散届出書」を提出しなければなりません。この場合の提出書類は、解散届出書(規則第11号様式)と解散及び清算人の登記をしたことを証する登記事項証明書の2点です。

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【目 次】
  1. NPOとは
  2. 法人化するメリットとデメリット
  3. NPO法人となるための要件
  4. 設立に必要な費用
  5. 設立に必要な書類
  6. 設立の流れ
  7. 法人成立後の手続き
  8. 法人の運営
  9. NPO予算準拠主義の削除について
  10. NPOを解散する場合
  11. NPO法改正(平成24年4月1日施行)について
  12. NPO法改正(平成24年4月1日施行)に伴う定款変更が必要な場合、その他事業報告等への影響について
質 問 回 答 備 考
1 NPOとは何ですか?  「NPO」とは、「Non Profit Organization」の略で、「非営利活動の団体」という意味です。
 「非営利活動」とは、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする活動のことをいい、いわゆる社会貢献的な活動をいいます。ただし、非営利といっても、対価をもらったり利益を上げたりしてはいけないということではありません。この場合の非営利とは、利益が出た場合でも構成員に分配してはいけないという意味です。すなわち、利益は構成員に分配するのではなく、今後の活動に生かしてゆくということです。
2 法人化するメリットとデメリットはどのようなものですか? ■法人化するメリット
@ 社会的信用が高い。
A 法人名での契約や登記が可能。
B 事業の委託や補助金等が受けやすくなる。
C 寄附金を集め易くなる。
D 法律の規制を受けるため、活動の透明性や責任感や高まる。
※ これら(特に@BC)はあくまで一般論であり、法人だからといって必ずメリットが生じるものではありません。
■法人化するデメリット
@ 活動内容に制限がある。
A 正確な経理・事務処理が求められる。
B 法人税がかかる。
C 所轄庁への申告や税務申告の義務がある。
D 登記事項に変更があれば、変更登記が必要になる。
E 社会保険への加入義務が生じる。
3 NPO法人となるための要件 ■活動目的〜20の活動目的のいずれかあるいは複数に該当すること
※平成24年4月1日施行改正法により、CDSが追加されました。

@ 保険、医療又は福祉の増進を図る活動
A 社会教育の推進を図る活動
B まちづくりの推進を図る活動
C 観光の振興を図る活動
D 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
E 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
F 環境の保全を図る活動
G 災害救援活動
H 地域安全活動
I 人権擁護又は平和の推進を図る活動
J 国際協力活動の活動
K 男女共同参加社会の形成の促進を図る活動
L 子どもの健全育成を図る活動
M 情報化社会の発展を図る活動
N 科学技術の振興を図る活動
O 経済活動の活性化を図る活動
P 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
Q 消費者の保護を図る活動
R 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
S 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は又は指定都市の条例で定める活動※
   ※ 三重県では、「三重県特定非営利活動促進法施行条例」により、
     一「地域防災活動」
     二「障がい者の自立と共生社会(障がいのある人とない人が、相互に人格と個性を尊重し合い、それぞれの違いを認め合いながら      共に生きる社会をいう。)の実現を図る活動」
     三「多文化共生社会(国籍、民族等の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な喚起得の下で地域社会の構成員とし      て安心して共に生きる社会をいう。)づくりの推進を図る活動」が規定されています。
  
     三重県が所轄庁であるNPO法人は、条例で定めた上記3分野の活動を定款に規定できます。ただし、定款の認証手続が必要とな    ります。

■その他の要件
@ 営利を目的としないこと(剰余金の分配をしないこと)
A 社員の資格の得喪に関して不当な条件をつけないこと
B 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
C 宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと
D 特定の公職者(候補者を含む)または政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと
E 暴力団でないこと、暴力団または暴力団の統制下にある団体でないこと
F 構成員(社員)が10人以上いること、また役員として3人以上の理事と1人以上の監事が必要
4 設立に必要な費用 @ 資本金不要。資産0円でも設立可能です。
A 定款認証も不要。公証人への認証手数料も不要です。
B 登記する場合の登録免許税も不要。法務局への支払いも必要ありません。変更登記の場合も同じです。
 結局、書類作成の手間は必要ですが、費用はまったくかからないということです。
 ただし、申請書に添付する役員の住民票の交付手数料は必要です。また、設立手続きを司法書士や行政書士などの専門家に依頼した場合には、別途報酬の支払いは必要となります。
 なお、法人を解散する場合は、精算手続きとして債権者への公告が必要であり、この場合は官報への登載料金が必要となります。
5 設立に必要な書類 NPO法人となるためには、所轄庁へ必要書類を提出し、認証を受けなければなりません。
【認証申請時に必要な書類】
@ 設立認証申請書
A 定款
B 役員名簿
C 各役員の就任承諾書及び誓約書
D 各役員の住所証明書(住民票等)
E 社員名簿
F 確認書(宗教・政治などの団体や暴力団関係でないことの確認書)
G 設立趣意書
H 設立についての意思決定を証する議事録謄本
I 事業計画書(設立当初の事業年度のもの及び設立の翌事業年度のもの)
J 収支予算書(設立当初の事業年度のもの及び設立の翌事業年度のもの)
6 設立の流れ @ 設立発起人会の開催  ※発起人は2人以上いればよい。
      ↓
A 設立総会の開催
      ↓
B 設立認証申請書類の提出(事務所が1県内のみであれば、各県へ提出。2以上の県にまたがる場合は、直接内閣府国民生活局へ提出する。
      ↓
C 県では、申請書受理後、2ヶ月間県民の縦覧に付す。
      ↓
D 縦覧期間終了後、2ヶ月以内に認証または不認証を決定
      ↓
E 認証書到達後、2週間以内に法務局に法人登記をする(後述)。
7 法人成立後の手続き ■法人成立後の各種届出
@ 法人設立等申告書及び事業開始等申告書 → 県税事務所及び市町村役場へ提出
A 収益事業開始届出書 → 法人税の申告が必要な法人のみ税務署へ提出
B 青色申告の承認申請書 → 法人税の申告が必要な法人のみ税務署へ提出
※ 法人が、事業年度の変更、主たる事務所・従たる事務所の異動、名称の変更、代表者の変更、目的等の変更をした場合は、異動届出書を税務署・県税事務所・市町村役場へ提出しなければならない。

■法人成立後の登記手続き
 特定非営利活動法人は、設立の認証を受けた後2週間以内に設立の登記をしなければなりません(組合等登記令第7条第1項)。
法人はその主たる事務所の所在地に設立の登記をすることによって成立します。
@ 名称
A 主たる事務所、従たる事務所
B 目的及び業務
C 代表権を有する者の氏名、住所及び資格・・・定款に記載された設立当初の役員のうち、理事全員の氏名、住所(資格は「理事」)
D 存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由・・・定款記載のもの
E 資産総額・・・設立の財産目録に記載された資産総額
添付書類
@ 定款
A 代表権を有する者の資格を証する書面・・・理事全員の役員就任承諾書
B 所轄庁の設立認証書
C 資産総額を証する書面・・・設立時の財産目録
D 代理人が申請する場合は、その権限を証する書面

■法人代表者の印鑑届
 設立登記の際には、法人代表者印を作成し、法務局に印鑑届出書を提出します。その際、代表者個人の印鑑証明書を添付する必要があります。
8 法人の運営 ■変更登記
 下記の登記事項に変更があれば、登記の変更手続きが必要となります。これを怠ると「過料」が科されることがありますので、注意してください。
@ 名称
A 主たる事務所、従たる事務所
B 目的及び業務
C 役員(理事)・・・住所・氏名の変更、新任、再任(重任)、任期満了、辞任、解任、死亡の場合に変更登記が必要です。
D 資産総額・・・事業年度が終了して決算した結果、変更があれば事業年度終了後2ヶ月以内に変更登記が必要となります。

■所轄県への書類の提出(三重県の場合)
 事業報告・・・事業終了後3ヶ月プラス1週間以内に事業報告書等提出書に基づいて提出する必要があります。これを怠ると、20万円以下の過料処分や県の認証取消(法人解散)の処分を受けることがあります。
<添付書面>
@前事業年度の事業報告書
A同財産目録
B同貸借対照表
C同収支計算書
D前事業年度において役員であったことがある者全員の氏名又は居所並びにこれらの者についての前事業年度における報酬の有無を記載した名簿
E前事業年度の社員のうち10人以上の者氏名及び住所又は居所を記載した書面、定款に変更があればその関係書面
※定款変更の場合・・・軽微な変更であれば、届出だけで済みますが、そうでない場合は、再度縦覧と認証が必要となります。
※役員の変更等・・・役員(登記と異なり、監事の変更も含みます)について、新任・再任・任期満了・死亡・辞任・解任・住所変更・改姓改名があれば、役員変更等届出書を県に提出しなければなりません。
9 「予算準拠の原則」の削除について 1 規定の内容と平成15年改正
「特定非営利活動促進法」(以下「NPO法」という。)第27条はNPOの会計原則を定め、かつて同条第1項では、「収入及び支出は予算に基づいて行うこと」との規定がありました(予算準拠主義)。ところが、同規定は平成15年改正により削除されました。

2 改正の趣旨
 改正の趣旨については、齊藤力夫・田中義幸編著「NPO法人のすべて」(増補7版)・税務経理協会によれば、下記のように説明されています。
 「この規定に縛られてNPO法人では機動的な対応ができないという問題がありました。助成金が受けられるかどうか不明な場合に予算をどう編成するかという問題や年度途中で新しい事業を始めたり、会計年度をまたがった事業を行う場合に、総会で予算を修正するなどの面倒な手続きが必要となるケースがあったからです。そこでこの規定は削除されました。今後は、会社の場合と同様に決算報告を重視する方法がとられることになり、NPO法人の臨機応変な事業運営が可能となるはずです。」(「NPO法人のすべて」142頁)。

3 予算会計の採用は任意的
 以上のように、NPO法では予算準拠の原則は削除されたため、予算会計の採用は義務的ではなくなり、それを採用するかどうかは任意となりました。
 なお、収支予算書は、設立及び合併認証申請をする場合を除いて所轄庁への提出は義務付けられていません。つまり、毎年度に行う所轄庁への事業報告としては、財産目録・収支決算書などは必要ですが、予算書の提出は不要ということです。

4 予算会計を採用した場合
 予算会計の採用は法律上は任意となったとはいえ、会計処理上は、予算を明記する方が事業計画の規模・内容を明らかにする意味でも望ましいのは確かです。
 では、予算会計を採用した場合、NPOはどのような扱いをすべきでしょうか。この点、前掲の「NPO法人のすべて」では、以下のように記されていますので、引用します。
 「NPO法人の予算は、拘束的・固定的な性格を有しています。予算が確定すると、原則として、主出は予算の範囲内となり超過は認められません。しかし、予測と実際には差異があるのが常で、予算を弾力的に運用しなければ事業執行に支障が生じる場合があります。その際は、科目間の流用と予備費の使用によって調整を行います。」「『科目間の流用』、『予備費の使用』の基準や手続きは、『会計処理規定』など法人内部の定めによることとなります」(「NPO法人のすべて」194頁)。
「臨機応変」な対応の順序としては、まず科目間の流用により対処し、それで不足がある場合に予備費を使用することとなります。予備費をどれくらい設けるべきかについては、同書によれば、目安として「予算総額の2〜3%程度」とされています。
 いずれにしても、NPO自身がこの2項目について規定を整備しておく必要があります。
そして、科目間の流用と予備費の使用によっても支出超過により対応できない場合に「予算の補正」を行います。補正の種類は3つあります。@増額修正、A減額修正、B組替補正の3つです。
10 NPOを解散する場合  せっかく設立したNPOですが、種々の事情により解散せざるをえない場合があります。以下、NPOが解散する場合のポイントを押さえましょう。

1 解散事由は以下のとおりです(法31条1項)
@ 社員総会の決議
A 定款で定めた解散事由の発生
B 目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能
C 社員の欠乏※
D 合併
E 破産
F 法第43条に規定する設立認証の取消し
※ 「社員の欠乏」とは社員が一人もいなくなることをいい、この場合自動的に解散します。10人未満になったからといって自動的に解散するわけではありません。ただし、10人未満の状態が長期に亘り回復の見込みがないような場合には、改善命令や認証取消しの対象となることがあります。

2 解散認定申請(法31条2項・3項)
 1の解散事由のうち、Bにあたる場合には、所轄庁の認定が必要となるため、「解散認定申請書」を提出する必要があります。

3 解散届け(法31条4項)
 1の解散事由のうち、@ACEの解散事由にあたる場合は、「解散届出書」を所轄庁に提出する必要があります。

4 清算
(1) 清算人(法31条の5)
 合併と破産の場合を除き、解散したときは原則として理事が清算人となります。ただし、定款の定め又は社員総会で他の人を選任したときは、その者が清算人になります。
(2) 清算人の職務(法31条の8)
 @ 「清算人就職届出書」の提出(法31条の8)。
 清算中に就職した清算人は、就職後当該清算人の登記をしたことの証する登記事項証明書を添付して、「清算人就職届出書」を監督官庁に提出する必要があります。
 A 清算人の行為(法31条の9)
 清算人は、現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しを行うために必要な一切の行為をするこができます。
 B 公告等(法31条の10)
 清算人は、その就職の日から2ヶ月以内に少なくとも1回※の広告をして、債権者に対し2ヶ月以上の一定期間内に債権請求の申し出をする旨を催告しなければなりません。知れたる債権者には、個別にその申し出を催告する必要があります。
 C 破産した場合の公告(法31条の11)
 清算中の法人が破産したときは、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨の公告をします。
 D 清算が結了した場合(法32条の3)
 清算が結了した場合は、清算結了の登記をしたことを証する登記事項証明書を添付して、「清算結了届出書」を監督官庁に提出する必要があります。
(3) 残余財産の帰属(法32条、11条3項)
 @ 定款に定めがある場合
 解散した法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除き、「清算結了届出書」を監督官庁に提出した時において、定款に定める帰属先※に帰属します。
 ※ 定款で定めることができる帰属先は、他の特定非営利活動法人、国又は地方公共団体、公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更正保護法人のいずれかとなります。
 A 定款に定めがない場合
 この場合は、清算人は、「残余財産譲渡認証申請書」により監督官庁に申請し、認証を得て、その財産を国又は地方公共団体に譲渡することができます。
 これに対し、清算人が認証申請をしなかった場合又は認証申請をしたが、認証されなかった場合は、残余財産は国庫に帰属することになります。

※従来の「3回」から「1回」の公告でよいことになりました。(2017年2月7日記)
11 NPO法改正(平成24年4月1日施行)について 一 平成23年改正法
1 成立日 平成23年6月15日に「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律」(平成23年法律第70号)が成立
2 施行日 平成24年4月1日から施行

二 特定非営利活動促進法(以下、「NPO法」といいます。)改正の概要
1 認証制度の見直し
@ 所轄庁の変更
 a) 2以上の都道府県に事務所を設置するNPO法人の認証事務について、内閣府に替えて主たる事務所の所在する都道府県の知事が行います。
 b) その事務所が1の指定都市の区域内のみに所在するNPO法人の場合は、当該指定都市の長が行います。

A 活動分野の追加
 これまでの17分野の加え、a)観光の振興を図る活動、b)農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動、c)法別表各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動(例:地域防災、障がい者支援、多文化共存など)を追加。

 ※ 三重県では、「三重県特定非営利活動促進法施行条例」により、一「地域防災活動」、二「障がい者の自立と共生社会(障がいのある 人とない人が、相互に人格と個性を尊重し合い、それぞれの違いを認め合いながら共に生きる社会をいう。)の実現を図る活動」、三「多  文化共生社会(国籍、民族等の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な喚起得の下で地域社会の構成員として安心して共 に生きる社会をいう。)づくりの推進を図る活動」が規定されています。
  三重県が所轄庁であるNPO法人は、条例で定めた上記3分野の活動を定款に規定できます。ただし、定款の認証手続が必要となりま す。

B 認証手続の簡素化・柔軟化
 定款の認証について、所轄庁の認証を要しない事項(例:役員の定数等)を追加(ただし、所轄庁への届出は必要)。
また、社員総会決議について、書面等により社員全員が同意の意思表示をしたときは、社員総会の決議があったものとみなすことができます(ただし、定款でみなし総会決議を規定する必要があります)。

C 未登記法人の認証取消し
 設立の認証を受けた者が当該認証のあった日から6ヵ月を経過しても設立の登記をしないときは、所轄庁は当該認証を取り消すことができます。

D 会計の明確化
 NPO法人が作成すべき会計書類のうち「収支計算書」を「活動計算書」(事業年度における当該法人の活動状況を表す計算書)に変更。
2 認定制度の見直し
@ 新たな認定制度の創設
 NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものは、所轄庁(都道府県又は指定都市)の認定を受けることができる。これにより、現行の国税庁による認定制度は廃止されます。
A 認定基準の緩和
 広く市民の支援を受けているかどうかを判断するための基準(「パブリック・サポート・テスト(PST)」)について、従来の相対基準※1の他に、絶対基準※2又は条例個別指定※3のいずれかを選択できることとなります。
 ※1(相対基準)=寄附金の総収入に占める割合が5分の1以上であるという基準
 ※2(絶対基準)=各事業年度に3,000円以上の寄附を平均100人以上から受けるという基準
 ※3(条例個別指定)=事務所所在地の自治体の条例による個別指定を受けるという基準

B 仮認定制度の導入
 設立初期のNPO法人、特に設立後5年以内の法人については、財政基盤が脆弱な法人が多いという事実に鑑み、1回に限り、スタートアップ支援として、パブリック・サポート・テスト(PST)を免除した仮認定(有効期間は3年)により税制優遇を受けられる制度(仮認定示度)を導入。
 なお、経過措置として、改正法施行後3年間は、設立後5年超の法人も仮認定を受けられます。

 認定NPO法人及び仮認定NPO法人に寄附をした者は、分離課税改正法(平成23年6月30日施行)において盛り込まれた措置の適用、すなわち寄附者は所得税法上の所得控除と税額控除を選択可能(これにより地方税法と合わせて寄附金額の最大50%の控除が可能)等が認められます。

3 監督規定の整備
 法令違反など一定の場合において、所轄庁は法人に対して報告を求めたり、検査を実施したり、また場合によっては改善措置を求めたり、更には認証・認定の取消しを行うこともあります。
 2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定NPO法人等について、所轄庁による監督を補完するため、従たる事務所所在地の知事も、当該都道府県内において、一定の監督権限(報告及び検査、勧告、命令)を行使することができます。また、併せて、所轄庁と従たる事務所所在地の知事が、関係機関と連携できるよう関連情報の通知などの仕組みが設けられました。

4 その他
 内閣府及び所轄庁は、NPO法人の活動状況に関するデータベースの整備などを通じて情報提供に取り組むことや、改正法施行後3年を目途として認定制度、「特定非営利活動法人」という名称のあり方について検討が加えられ、必要な措置が講ぜられることとなります。

(以上、内閣府「特定非営利活動促進法のあらまし」参照)

※詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
 内閣府NPOグループ → https://www.npo-homepage.go.jp/about/201204_kaisei.html
 三重県NPO室グループ → http://www.pref.mie.lg.jp/NPO/kaisei.htm


12 NPO法改正(平成24年4月1日施行)に伴う定款変更が必要な場合、その他事業報告とへの影響について
 前述のNPO法改正(平成24年4月1日施行)に伴う定款変更等が必要な場合、その他事業報告等への影響は以下のとおりです。

1 「特定非営利活動の種類」条項
 改正NPO法で、特定非営利活動の活動分野の号数がずれたため、法人の定款に記載される「特定非営利活動の種類」の規定内容によっては、定款を変更する必要が生じます。登記上「目的等」欄に号数が記載されている場合であって、定款変更が必要な場合は、併せて登記の変更も必要となります。
@ 改正前の号数が記載されている場合は、定款変更が必要
A 号数のみの記載しかない場合(活動の種類の表示がない場合)は、活動分野が推測できないため、速やかに定款変更が必要

2 総会「議事録」条項(社員のみなし決議の導入)
 今回の改正で、社員のみなし決議の導入されました。このみなし決議を活用した場合、実際には社員総会は開催されないため、総会議事録の記載内容も通常とは異なる異なることになります。そのため、この制度を利用する法人は、定款中の「議事録」の項目を修正する必要が生じます。
<例>第三項の新設
 (議事録)
 第○条 (略)
 2 (略)
 3 前2項の規定に関わらず、正会員全員が書面による同意の意思表示をしたことにより、総会の決議があったとみなされた場合において は、次の事項を記載した議事録を作成しなければなりません。
 (1) 総会があったものとみなされた事項の内容
 (2) 前号の事項の提案をした者の氏名又は名称
 (3) 総会の決議があったものとみなされた日
 (4) 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

3 役員の「職務」条項(理事の代表権の制限)その1
 殆どの法人は、「 理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。」との規定があるのみで、他の理事の代表権を制限する規定をもっていません。このような場合に理事の代表権を制限する場合と制限しない場合それぞれについて、以下の手続きが必要となります。
<例>
 A 理事の代表権を制限することとする場合
  (職務)
 第○条 理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。理事長以外の理事は、この法人の業務について、この法人を代表しない。
  ※コメント このような規定にする場合は、定款変更は任意であるが、登記の変更は必要。ただし、この例のように理事長以外の理事が 代表権を持たないことを明記する定款変更をしておくのが望ましい。
 B 理事の代表権を制限しないこととする場合 
  (職務)
 第○条 理事長は、この法人の業務を総理する。
 2 (略)
 3 理事は、この法人を代表し、理事会を構成し、この定款の定め及び理事会の議決に基づき、この法人の業務を執行する。
  ※ コメント 第1項の「代表し、」を削除し、第3項に「この法人を代表し、」を加えています。この場合、定款変更が必要となります。なお、登記の変更は不要です。

3 役員の「職務」条項(理事の代表権の制限)その2
 理事の代表権の制限を行った場合、登記の変更も必要となります。すなわち、殆どの法人では、現在の登記上には理事全員が登記されていると思います。今回の改正では、代表権を有する理事のみを登記することとなったため、代表権を持たない理事については、代表権喪失の登記をするか、あるいは代表権の範囲を追加する必要があります。
 例えば、下記のような場合
 A 理事長(代表権あり)  登記必要 → そのまま登記
 B 理事(一部の業務の代表権あり)  登記必要 → (○○の業務についてのみ代表権を有する)旨の追加記載が必要
 C・D・E 理事(代表権なし)  登記不要 → 抹消登記

 定款に「理事長のみが法人を代表する」旨の記載がある法人については、平成24年4月1日(改正法施行日)から6ヵ月以内に、代表権を有する理事以外の代表権を制限された理事及び代表権を有しない理事について、「平成24年4月1日代表権喪失」を原因とする変更の登記をしなければならないこととされました。
 また、定款に、理事の代表権の範囲又は制限に関する定めがある場合も、代表権の一部が制限された理事についての代表権の範囲又は制限に関する定めの登記が必要となります。
 これらの変更登記は、他の登記申請をする場合には、これらの登記の申請と同時にしなければなりません。

4 理事の代表権の制限
 これまで、定款で定められた理事の代表権の制限は、体内的にのみ有効で、対外的には理事全員が代表者という扱いでしたが、今回の改正により、対外的にも理事の代表権の制限を対抗できることになりました。ただし、定款による理事の代表権を制限した場合は、併せてその旨を登記する必要があります。

5 定款変更条項
 今回の改正により、定款変更を届出だけで済む事項が増えたことに伴い、これまで使われてきた「軽微な事項」という文言がなくなりました。そのため、NPOの定款における「定款変更」の規定の中に、「軽微な変更」という文言を使用している場合には、表現を改める必要があります。他の定款変更と併せてできるだけ早期に変更するようにしましょう。

6 会計の明確化に伴う「事業計画及び収支予算」「事業報告及び決算」条項の改正
 今回の改正により、「収支予算書」が「活動予算書」に変更され、また「収支決算書」が「活動計算書」に変更されました。これにより、定款中に「収支計算書」等の名称を使用している場合、「活動計算書」等に変更する必要があります。
 ただし、経過措置として、当分の間は「収支計算書」のままでも認められますので、会計書類を活動計算書に変更するまでは定款変更は不要ですが、いずれは必要となりますので、活動計算書の導入を検討しておいてください。
 
7 会計の明確化
 「活動計算書」の特徴は以下のとおりです。
 @ NPO法人会計基準協議会による「NPO法人会計基準」をベースにする。
 A 資金収支ベースの計算書類としての収支計算書から、損益ベースの計算書類としての活動計算書へ変更され、株式会社などで使用されている会計基準に近くなる。
 B 活動計算書となることで、減価償却などの正味財産の増減原因を示すことができるため、法人の財務的生存力を把握することができる。

8 その他事業
 今回の改正で、「収益」※1が「利益」※2へと変更されました(改正NPO法第5条第1項)。定款においても他の定款変更と併せて変更することが必要です。
 ※1「収益」=資本取引以外の正味財産の増加分を指す概念
 ※2「利益」=「収益」から「費用」を差し引いた概念

9 提出書類の変更等
(1) 「役員の変更等届出書」の添付書類の追加
 役員変更等の届出時に添付する書類として、新たに「変更後の役員名簿」が追加されました。この役員名簿は、「最新の役員名簿」として所轄庁において閲覧の対象となります。

(2) 「定款変更届出書」の添付書類の追加
 定款変更の届出字に添付する書類として、新たに「定款の変更を議決した社員総会の議事録の写し」及び「変更後の定款」が追加されました。提出された変更後の定款は、「最新の定款」として所轄庁において閲覧の対象となります。

(3) 「定款の変更の登記完了提出書」の新設
 定款の変更時において変更内容が登記事項である場合、変更内容の登記完了後に定款変更登記完了届という手続が新設されました。これにより、定款変更の登記完了後の提出書類は、@定款の変更の登記完了提出書、A登記事項証明書となります。

(4) 「事業報告書等提出書」の添付書類の一部変更
 ア)事業報告書等の提出時の添付書類として、定款変更に係る書類が削除されました。
 これにより、改正後の事業報告書等の提出書類は以下の7点となります。
 @事業報告書等提出書、A事業報告書、B活動計算書、C貸借対照表、D財産目録、E前事業年度の年間役員名簿、F前事業年度の社員のうち10人以上の者の名簿
 イ) その他の事業における別葉表示
 これまでは、法人が定款でその他事業を行うことを定めている場合は、事業報告書に添付する会計書類(財産目録、貸借対照表、収支計算書)は、「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」とに分けてそれぞれの書類毎に別葉で提出してきました。今後は、活動計算書に限って「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」を1枚中で2段書き表示をすることが可能となり、その他書類の別葉表示は不要となりました。
 ただし、当分の間は、活動計算書ではなく、収支計算書を作成する法人にあっては、これまでと同様、「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」を別葉表示するか、又は一つの書類の中で2段書き表示しても構わないとされています。
 なお、収支計算書を作成する法人が、「その他の事業」を実施していない場合は、収支計算書の末尾に「※当該年度はその他の事業を実施していません。」との脚注を記載することも可能です。
 ウ)役員名簿と年間役員名簿
 今回の改正で、事業報告書の提出種類の一つとして、これまで「役員名簿」とされていたものが、「年間役員名簿」へと変更されました。
  改正NPO法では、役員名簿と年間役員名簿は以下のように使い分けられることになります。
  役員名簿=最新の役員の就任状況を明らかにする書類。設立認証時、役員変更等届出字、合併認証申請時における添付書類。
  年間役員名簿=特定の事業年度における役員の就任状況を明らかにする書類。事業報告書等の提出時の添付書類。
 エ)法人事務所での情報開示書類及び場所の追加
 今回の改正で、閲覧の対象書類と場所が拡大されました。
 備え置くべき書類は以下の10点です。
 @事業報告書、A活動計算書、B貸借対照表、C財産目録、D前事業年年度の年間役員名簿、E前事業年度の社員のうち10人以上の者の名簿、F最新の役員名簿、G定款、H定款変更に係る認証書類の写し、I定款変更に係る登記書類の写し
 これらの書類は、改正後は、法人の主たる事務所と従たる事務所に備え置き、閲覧に供しなければなりません。

10 改正法の経過措置
(1) 「定款変更登記完了提出書」の提出はいつから必要か?
  「定款変更登記完了提出書」の届出を行う必要があるのは、改正法施行日以後に認証の申請又は届出をした場合から適用されます。
 例えば、「主たる事務所の所在地」を変更した場合、登記を4月7日に行っても定款変更の届出日が3月31日であれば、登記完了届は不要で、4月1日に定款変更の届出行った場合は必要となります。なお、登記完了届が不要となる場合は、改正前のNPO法に従い、事業報告書の提出の際に併せて登記事項証明書を添付することになります。

(2) 添付書類が変更された「事業報告書」となるのはいつの提出からか?
 改正された事業報告書の提出は、施行日以後に開始する事業年度の事業報告書について適用し、施行日前に開始した事業年度の事業報告書については、改正前の規定によります。
 例えば、事業年度が3月31日で終了するNPO法人の場合は、平成23年度の事業報告書は、改正法施行後の平成24年7月7日までに提出することとされていますが、法施行日以後に開始した事業年度でないため、従来通りの添付書類での報告となります(定款変更があった場合はそれに係る書類も必要)。改正法による事業事業報告書の提出は、平成24年度分の報告から適用されることになります(定款変更に係る書類は不要)。

(3) 「最新の役員名簿」の提出
 今回の改正で、「最新の役員名簿」が追加されたことに伴い、改正NPO法の施行日以後最初に事業報告書を提出するときに、この「最新の役員名簿」を併せて提出する必要があります。ただし、事業報告書提出前に、役員変更の届出を行い最新役員名簿を提出している場合は不要です。

以上、登記に関することは、法務局のホームページでご確認ください。 

NPO法人の設立・運営・定款変更・事業報告等で困ったなと思ったら、当事務所へご相談ください。
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