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Q5 女性の再婚禁止期間についての最高裁判所の違憲判決は何を違憲としたのですか。また、今後の戸籍実務はどうなりますか。

A5 2015年12月16日最高裁判所は、女性にだけ離婚後6か月間の再婚を禁じた民法第733条の規定(再婚禁止期間)について、100日を超える期間を設ける点について憲法に違反するとしました。

民法733条第1項は、「女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と規定しています。再婚後に出生した子の父親が、前婚の夫の子か後婚の夫の子か不明となるのを避けるためであるとの趣旨でからですが、この趣旨から、民法自体がその第2項で「女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。」としています。この場合には、父性推定の重複がないといえるからです。しかし、そうでない限り、女性にだけ原則として6箇月間の長期にわたる再婚が禁止されるということになっていました。しかし、父性推定のためであれば、100日あれば判定可能ですから、6箇月はあまりに長すぎます。今回の判決は、このような点を不合理であるとして違憲と判断したのです。

以上の違憲判断を受け、国会で民法改正案が提出されることになるでしょう。ただし、法律改正を待たずして経過措置として戸籍実務の取り扱いは変更されるでしょう。この点、法務省は、「民法が改正されるまでの間、離婚後100日を超える女性の婚姻届が提出された場合は、受理するよう法務局を通じて全国の市町村に通知し、混乱が起きないよう取り組む」としています。したがって、通知がされた以降は前婚解消後100日を超えた場合は、役所でも婚姻届を受け付けることになります。
今までの6ヶ月に比べると大幅に禁止される期間が短縮されることになりますが、この点については、そもそも女性にだけ再婚禁止期間そのものを設けること自体がおかしいとの意見もあります。
Q4 胎児認知届の書き方を教えてください。

A4 以下、 胎児認知届の書き方について説明します。


 一般的に、婚姻関係にない父母との間に生まれた子を認知する際には、届出対象者の本籍地又は届出人の所在地(一時的な居所でも可能)の役所に認知届を提出することになりますが、胎児を認知する場合の届出先は、母の本籍地となりますので注意してください。

@ 日付は、届出日の年月日を記載します。
A 「認知される子」の欄には、まだ出生前で名前がないので、「胎児」と記載します。「生年月日」「父母との続柄」「住所」「本籍地」は空欄とします。
B 「認知する父」の欄には、認知する人(父)の氏名と生年月日、住所(住民登録場所)、世帯主名、本籍地、筆頭者の氏名(外国人のときは国籍のみ)を記入します。
C 「認知の種別」欄には、任意認知の□にレ点を付けます。
D 「子の母」欄には、母の氏名、生年月日、本籍、筆頭者の氏名を記入します。
E 「その他」欄には、胎児を認知する□にレ点を付し、母が承諾した旨(「この届出を承諾する。 母の住所、母の氏名)を記入し、捺印をします。母自身が自筆で署名し、母自身の印鑑を使用します。
F 「届出人」欄には、父□にレ点を付し、父の住所、本籍、生年月日を記入し、父の署名と印鑑での捺印をします。

 以上が作成要領です。

■ 胎児認知の場合は、これを役所が受理した後受付帳(記録)に登載(記録)しますが、すぐに戸籍記載するのではなく、一旦は「戸籍記不要届出書類綴」に編綴し、出生届がなされた時点で戸籍に記載(記録)されることになります。

■ 注意点として
・届出先は、母の本籍地の役所です。
・届出人の署名、押印は届出義務者自身が行います。
 ただし、届出人が署名したものであれば届書をお持ちになる方は、親族その他の方でもよい場合もあります。念のため、予め役所へ確認してください。

認知届、離婚協議書作成等のことなら、お気軽にご相談ください。
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行政書士 橋本俊雄
Q3 認知とは何か。未成年者や成年被後見人でも認知はできるのか。胎児を認知することも可能か。(2015年3月28日記)
 高校生になる娘が妊娠してしまったようです。相手は学校の同級生であり、まだ17歳であるとのことです。娘はどうしても産みたいとのことですが、相手に生まれてくる子の父親として認めてもらう方法として、認知というものがあると聞きました。認知とはどのようなものですか。また、未成年者でも認知はできるのでしょうか。

A3 未成年者でも認知は可能です。また、胎児中でも認知することができます。

以下、認知について基本的な解説をします。

1 認知の種類
 認知には、任意認知と強制認知の区別があります。
 任意認知とは、届け出によって行う認知のことをいいます。これに対し、強制認知とは、父が認知しないときに、子(その直系卑属又は法定代理人)が起こす認知に関する訴えをいいます。

2 任意認知
(1) 認知を行う者
 民法779条では、嫡出でない子は、その父又は母が認知することができると規定されています。
 ただし、「母とその非嫡出子との親子関係は、原則として、母の認知を待たず、分娩の事実により当然発生する」とするのが判例の立場であり(最判昭和37.4.27)、母の認知行為は必要ないこととされています。
 したがって、認知が意味を持つのは婚外子の父子関係についてのみです。このような意味で、認知は婚外子の父子関係の成立要件となります。

(2) 認知の効果
 法律上の父子関係は、認知によって生じ、その効果は出生のときに遡ります(民法787条)。これにより、相続権や扶養義務などの法律上の義務は、認知により生ずることとなります。
 逆に言えば、これら法律上の相続権や扶養義務などは認知がないと生じないということです。なお、扶養義務は親権とは無関係ですので、認知されれば、親権者でない父に対しても子は扶養請求をすることが可能となります。

(3) 認知の方式
 認知は、戸籍法の定める届出によって行います(民法781条第1項)。また、認知は遺言によっても行うことができます(同条第2項)。届出による場合は創設的届出であり、届出によって効力が生じますが、遺言による場合の届出は、報告的届出であり、効力は被相続人の死亡により生じていることとなります。

(4) 認知の要件
 認知については、最低限意思能力が必要ですが、行為能力までは必要とはされていません。したがって、未成年者でも、また成年被後見人でも、意思能力があるかぎり法定代理人の同意なしに認知をすることができます(民法780条)。
 認知は、父がいつでも自由に行うことができるのが原則ですが、例外もあります。
 @ 認知される子が成年者であるときは、その子の承諾が必要です(民法782条)。
 A 胎児を認知する場合は、母の承諾が必要です(民法783条第1項)。

(5) 認知請求権の放棄
 認知請求権を放棄することが可能かについては、判例は、これを認めていません(最判昭37.4.10)。

[参考] 戸籍法
第60条(届出事項)
 認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
 一 父が認知をする場合には、母の氏及び本籍
 二 死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍
第61条(胎児の認知)
 胎内に在る子を認知する場合には、届書にその旨、母の氏名及び本籍を記載し、母の本籍地でこれを届け出なければならない。
                                                                    以上
Q2 外国人配偶者と離婚する場合に必要な手続きは何ですか?
10年前に結婚し、現在は日本に居住しています。また、中学1年になる未成年の子が一人います。
(2014年9月23日記)

A2 外国人配偶者と離婚する場合に必要な手続きについて
(1) 準拠法
 まず、そもそも離婚が成立するためには、どの国の法律に基づくのかが問題となります。この点、「法の適用に関する通則法」第27条によれば、離婚の準拠法は以下の通りとなっています。
@ 夫婦の共通本国法
A @がない場合は、夫婦の共通常居所の法律
B @もAもない場合は、夫婦の最も密接な関係国の法律

 通常、日本人と外国人夫婦の場合は共通本国法というものはないため、夫婦の共通常居所が日本にあれば、日本法(日本の民法)によることとなります。
日本民法では、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれかにより離婚が認められます。ただし、協議離婚と調停離婚では離婚理由は特に問われませんが、
裁判離婚では離婚理由が必要となりますので(民法770条)、この点は注意が必要です。

 質問者の事例では、合意が整うのあれば、協議離婚や調停離婚での離婚が可能です。合意が難しい場合は、裁判離婚の方法を選択することとなります。

(2)離婚の効力
 質問者の事例では、日本法が適用されるため、例えば協議離婚による場合でも日本国内に限れば、離婚が成立し、離婚の効力も生じます。
 しかし、外国人である配偶者の属する国によっては、離婚自体を認めない場合や協議離婚を認めていない場合がありますので、日本で成立した離婚が配偶者の本国でも効力があるのかについては、在日大使館・領事館に確認をしておく必要があります。
 この点、日本における協議離婚では足りないが、日本での裁判離婚であれば本国でも効力を認める国もあります。その場合は、日本で裁判離婚を選択します。
これに関連して、裁判離婚ではなく、あくまで調停離婚を利用した場合、裁判離婚との共通性を明らかにするために、調停条項に「確定判決と同一の効力を有する」との文言を記載することで裁判離婚と同様の取扱いを認める国もあります。ただし、このような方法も、本国で承認されるかどうかは確実とはいえませんので、やはり予め在日大使館・領事館に確認しておくべきでしょう。
 さらに、未成年の子がいる場合は、離婚を認めない、あるいは離婚の要件が厳しくなるなどの場合もありますので、この点も必ず確認をしておきましょう。

(3)日本人とブラジル人配偶者の離婚の場合
 事例のような場合にブラジルでの取扱いはどのようになっているのか、ブラジル領事館に問合わせたことがあります。その回答をいただきましたので、ポイントを紹介します。

「ブラジル人と日本人との婚姻の日本での離婚判決は、ブラジルの高等裁判所で承認される必要があります。
そして、ブラジルの裁判所で承認を受けるためには、同手続きを行うことが出来るブラジル人弁護士を通して下記の書類を提出する必要があります。
@ 依頼する弁護士に宛てた委任状
A 日本裁判所の判決文の原本(領事館認証済みのもの)
B 可能であれば、元配偶者の離婚同意書、署名認証が行われたもの
C ブラジルの婚姻届
上記の日本の書類はすべて、ブラジル領事館における認証手続きが行われている必要があり、ブラジルの公証翻訳人による翻訳を行う必要があります。
そして、日本での離婚判決をブラジルの裁判所で承認を受けた後、婚姻届が行われたブラジルの登記所において婚姻証明書に追記を行う必要があります。
Aの項目については市町村役場の離婚届と戸籍謄本があれば手続きが可能と思われますが、ブラジル人弁護士とのご相談が必要です。
ブラジルでの離婚の手続きの詳細につきましてはブラジル人弁護士とご相談下さい。」

 以上のような回答でした。これによると、日本において裁判離婚によることが原則となりますが、離婚届と戸籍謄本があれば手続き可能ということですので、協議離婚をして市町村役場に離婚届を提出し、離婚後の戸籍謄本を取得し、ブラジル公証翻訳人による翻訳を行うことにより、必ずしも裁判離婚という方法によらなくともよいということになります。
 ただし、この点も明言されているわけではないので、ブラジル人弁護士に相談しながら手続きを進める必要があります。

(4)財産分与、親権等
 外国によっては、財産分与を認めていないところもありますので、注意してください。また、日本では親権者をどちらか一方に決めますが、外国では離婚後も共同親権が認められているところも多くありますので、この点もやはり事前に確認しておくようにしましょう。

(5)離婚後の在留資格
 日本人と婚姻していた外国人配偶者が離婚をし、その後も日本にとどまる場合は、在留資格の変更が必要となることがあります。
在留資格が「日本人の配偶者等」となっている場合は、「定住者」への変更が必要です。この場合は、在留資格変更許可申請書を提出する必要があります。
 一定期間婚姻生活が継続していた場合は、在留資格の変更が認められることが多いと思いますが、その必要性について、陳述書などを作成して補足するなどの工夫も必要です。この点も予め日本の入国管理局で確認するようにしましょう。

Q1 婚約が不当に破棄された場合、損害賠償請求は可能か?(2014年6月15日記)

A1 財産的損害の他、場合により逸失利益や慰謝料の請求が可能です。
 婚約とは、将来婚姻(結婚)しようという当事者の合意をいいます。婚約の成立のためには、結納などの方式は必要ではなく当事者の合意のみで足ります。
婚約が成立すると、当事者は互いに誠実に交際し、婚姻成立に向けた義務を負います。しかし、婚姻を強制することはできず、当事者は一方的に婚約を解消することが認められます。ただし、この婚約解消が不当な理由による場合には、破棄された他方は破棄した相手方に対し債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。

 婚約の不当破棄による損害の内容としては、@婚約披露宴費用、結婚式場のキャンセル料、仲人への謝金等の婚姻の成立を信頼して支出した財産的損害、A婚姻を前提に退職した場合などの逸失利益、B婚約の不当破棄により受けた精神的苦痛に対する慰謝料の3つが考えられます。@については、領収書などの支払いを証明する資料を、Aについては退職証明書、就業中の源泉徴収票などの所得を証明する資料をできるだけ用意してください。Bについては、相手方の不当性の程度と破棄された側の精的苦痛の程度の総合判断が必要であり、一律にいくらとはいえません。ただし、精神的苦痛をできるだけ客観化することが必要ですから、仮に不当破棄によりうつ病などを発症してしまったような場合には医師の診断書などを用意するようにしましょう。
以上の他に結納金をすでに渡していたような場合には、不当破棄した側がそれを保有する根拠を失いますから、不当破棄された側は不当利得に基づき返還を請求することが可能です。
 
 損害賠償をする場合には、@ 婚約が成立したことを明示する、A 婚約破棄の不当性をできるだけ具体的事実をもって指摘する、B 損害の内容、費目、金額を明確にする、の3点がポイントとなります。
請求方法には特に制限はありませんが、いきなり訴訟によるのではなく、まずは内容証明郵便を利用することをお勧めします。内容証明郵便であっても、相手方が自分の非を多少なりとも認めている場合には賠償請求に応じる可能性が高いといえます。<BR>
 
 なお、請求の際に注意することは、あまりに高額な請求をしてしまうと初めから支払を拒否されてしまうことが多いので、相手方の資力(収入や預貯金額など)などを考慮して請求額を調整することも必要です。
 
 相談先としては、初めから拒否の態度を示す相手方の場合、紛争性があるといえますので、弁護士に相談してください。そうでなく、相手方に合意の余地があるのであれば行政書士へ相談することが可能です。この場合、相談先の行政書士が民事法務が得意なのか、内容証明書作成について豊富な経験があるのかが選定の基準となります。
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【目 次】

1 離婚とは
2 離婚の方法
3 離婚の理由
4 離婚前に考えておくべきこと
5 離婚に際してのポイント
6 財産分与について
7 慰謝料について
8 親権について
9 協議離婚のポイント(改訂)

10 借金を免れるための離婚
11 借金は離婚原因となるか
12 口約束での離婚は大丈夫か
13 財産分与と税金
1 そもそも離婚とは何ですか?  婚姻(夫婦)関係の解消の一つであり、いったん有効に生じた婚姻の効果を、婚姻成立後に生じた事由により、将来に向かって消滅させることをいいます。
 同じく婚姻の解消である婚姻の取消しや婚姻の無効が婚姻成立時に存在する瑕疵を理由とするものであるのに対し、離婚は婚姻成立時には瑕疵がなく、婚姻成立後に生じた事由を理由とする点で異なります。
2 離婚の方法にはどのようなものがありますか?  離婚の方法としては、@協議離婚、A調停離婚、B審判離婚、C裁判離婚の4つがあります。
 @の協議離婚とは、夫婦間の話し合いによる離婚をいいます。協議が成立すれば、双方で離婚届用紙に署名と捺印をし、第三者に証人として署名と捺印をしてもらって、役所に提出すれば、離婚が成立します。
 Aの調停離婚とは、夫婦間の協議が調わない場合または協議ができないような場合に、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることによって行う離婚をいいます。調停では、家庭裁判所において、民間から選任された調停委員が間に入り、夫婦間の話し合いを進めてゆきます。
 Bの審判離婚とは、調停離婚が成立しない場合でも、家庭裁判所が相当と認めるときは、一切の事情を考慮して、職権で当事者の申し立ての趣旨に反しない程度で審判によって行う離婚をいいます。
 Cの裁判離婚とは、離婚の調停でも話し合いがつかなかった場合に、夫婦の一方(原告)から他方を被告人として訴訟を起こして行う離婚をいいます。訴訟では、お互いの主張と証拠により家庭裁判所の裁判官が事実を認定し、離婚を認めるかどうかを決めます。この裁判離婚は、原則として、協議離婚、調停離婚、審判離婚が不成立になった後でないと申し立てられません。離婚において、残された最後の手段といえます。
3 どのような場合に離婚できますか?  協議離婚・調停離婚・審判離婚の場合は、離婚原因は問いません。たとえば、性格の不一致という理由でも合意さえあれば離婚できます。
これに対して、裁判離婚では以下のいずれかの理由が必要です(離婚原因)(民法770条1項)。
 @ 配偶者の不貞行為
 A 配偶者からの悪意の遺棄
 B 配偶者の3年以上の生死の不明
 C 配偶者の回復見込みのない強度の精神病
 D その他婚姻を継続しがたい重大な事由の存在
4 離婚前に考えておくべきことは何ですか?  まず第1に、離婚後の生活費と仕事をどう確保するのかを考えてください。特に専業主婦の方や幼い子供を引き取る場合には、この点が最も重要です。仕事をどうやって見つけるかが鍵となります。
 第2に、離婚後の住居の確保と子供の保育をどうするかを考えてください。新たにアパートやマンションを探すとなると、初めに敷金・礼金が必要となり、一定のまとまったお金が必要となります。また、仕事を持たない方の場合は入居条件などで問題が生じることがあります。他方、現に仕事をもっている方は、子育てとどのように両立できるかについても考えておく必要があります。
5 離婚に際してのポイントは何ですか?  3つの問題を考えておく必要があります。
@ お金の問題・・・夫婦の共有財産の精算をすることや慰謝料の支払い・請求の問題など
A 子供の問題・・・未成年の子供がいる場合の子供の親権者を誰にするか、離婚後の養育費の問題、子供との面接交渉権の問題など
B 戸籍と姓(氏)の問題・・・婚姻により姓(氏)を改めた側の戸籍と姓をどうするかの問題
6 財産分与とは何ですか?  財産分与とは、婚姻期間中に夫婦の協力で築いた共有財産を精算して分け合うことをいいます。民法では「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」としています(768条1項)。また、この規定は裁判上の離婚にも準用されます(771条)。
 この財産分与には以下の4つの性質があるといわれています。
 @ 精算的財産分与(夫婦共有財産の精算)・・・財産分与の中心
 A 扶養的財産財産分与(弱者に対する扶養料)
 B 慰謝料的財産分与
 C 過去の婚姻費用(生活費)の精算
 財産分与の目安としては、専業主婦の場合は30%〜50%、共働き夫婦の場合は原則として50%、夫婦で家業に従事している場合は50%前後とされることが多いようです。ただし、あくまでも目安であり、具体的事情に応じた寄与度で決められます。
7 慰謝料とは何ですか、どの位が相場ですか?  慰謝料請求とは、婚姻生活の中で精神的苦痛を受けた側(被害者)がその原因を作った側(加害者)に対して有する損害賠償請求のことです。相手方から暴力を受けた、相手方が不倫をした、相手方が生活費を渡さないなどが典型です。加害の原因に相手方の親族や第三者が加担していた場合は、その人たちに対しても請求できます。
 慰謝料請求の額について、相場というものはありません。100万円から場合によっては1,500万円まで認めた例はありますが、基本的には個々の具体的事情によります。
 慰謝料請求で大切なことは、損害の証明です。相手からの暴力があれば医師の診断書、浮気であれば証拠の品や写真など、証拠が整えば整うほど有利となります。また、相手の言動などについてのメモを残すなどの工夫も必要です。
8 親権はどのように決まりますか? 1 親権の決定方法
 離婚と共に親権者の決定についも、まずは当事者の話し合いで決めることになります。 当事者の話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に「親権者指定」の調停・審判の申立てを行うことになります。
2 家庭裁判所での考慮事由
 家庭裁判所では、@父母側の事情とA子供側の事情が考慮され、最終的には「子供の福祉・利益」の観点から親権者が決定されます。細かいですが、以下考慮される「父母側の事情」と「子供側の事情」の例示及び年齢による補足をあげます。
(1) 父母側の事情
 心身の状態、生活態度、住居、家庭環境、教育環境、子供に対する愛情の度合い、子供に接する(世話ができる)時間、父母の再婚の可能性、離婚の原因、監護補助者(身近に育児を手伝える人など)の有無、経済状態(資産、収入)※ただし、経済状態については、余裕のある側が養育費を支払うことにより解決することが多い。
(2) 子供側の事情
 年齢、性別、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化(転校・転居など)への適応性、父母との結びつきの度合い、子供の意向(判断能力がある場合)
(3) 補足(子供の年齢による親権者決定の一般的傾向)
 0歳〜10歳の場合は、母親とのスキンシップが重視されるため、母親が親権者となることが多い(ただし、これはあくまで一般論として)。
3 調停申立ての留意点
(1) 内容面
 親権者決定の調停申立てをする場合の留意点としては、申立人側が子の養育をすることに支障がないことを、できるだけ具体的な根拠(事情)により主張すること、また、逆に相手方が養育する場合はどのような不都合が生じるかを、これもできるだけ具体的に主張することが必要です。要は、親権を求める側のプラス要素を上げつつ、相手方のマイナス要素をどれだけ説得的に主張できるかが重要です(最終的には調停委員をいかに納得させられるかが鍵となりますので)。
(2) 手続面
@申立ては、相手方住所地若しくは合意で決めた家庭裁判所に申し立てます。
A申立書に必要事項を記載します。
B費用は子供一人であれば、収入印紙代1200円プラス切手80円×10枚
C詳しくは、家庭裁判所の「家事相談コーナー」にまずはお聞きください。
4 専門職への依頼について
 当事者での話し合いでまとまる場合は、行政書士に依頼し、合意書面を作成します。当事者の話し合いで決着が付かない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
9 協議離婚をする場合のポイントは何ですか?また、離婚協議書と離婚給付等契約公正証書の違いは何ですか?  協議離婚は当事者の協議だけで離婚が成立するものですが、その結果は必ず書面に残しましょう。離婚に際して取り決めた内容を盛り込み、とりわけ子供の養育とお金の支払いが確実となる方法をとることが必要です。当事者の合意だけで作成する「離婚協議書」でも有効ですが、できるだけ書面は公正証書で作成することをお勧めします。「公正証書」とは、公証人が作成する公文書で、公証人役場で作成するものをいいます。公文書ですから強い証明力があり、相手方がもし支払いなどを怠った場合には、債務名義として裁判によらずに強制執行が可能となるものです。
 この公証人が作成する離婚に関する公正証書を特に「離婚給付等契約公正証書」といいます。通常、@離婚の合意、A親権者と監護権者※の定め、B子供の養育費、C子供との面接交渉、D離婚慰謝料、E離婚による財産分与、F住所変更等の通知義務、G清算条項、H強制執行認諾の各条項が記載されます。
 ※「監護権者」とは、子の監護養育をする者をいいます。親権と分離して別に監護者を定めない限り、親権者が当然監護養育義務を負います。
10 夫(妻)の借金を免れるために離婚は有効ですか?  ポイントは、夫婦の他方が一方の借金(債務)の保証人あるいは連帯保証人となっているかによります。保証人や連帯保証人になっていた場合は、たとえ離婚しても責任は免れません。これに対し、保証人や連帯保証人になっていなければ、夫婦の他方は一方の債務について法律上は責任はありませんので、たとえ支払い請求を受けたとしても毅然と拒絶してください。結局、このような場合に離婚という方法をとることは何ら問題の解決にはなりません。なお、夜逃げや蒸発も何ら問題の解決にはなりません。これらの場合には、債務整理や破産手続きを行い、法律的に解決する手続立てを選んでください。そのためには、弁護士や司法書士などの専門家に早めに相談するようにしてください。
11 夫(妻)がサラ金から借金をしたことを理由に離婚できますか?  もちろん協議離婚ということであれば、離婚の合意により離婚することは可能ですが、夫(妻)が拒否した場合には裁判で離婚を認めてもらわなくてはなりません。裁判離婚の場合は、離婚原因が限られており、@配偶者に不貞行為があったとき、A配偶者から悪意で遺棄されたとき、B配偶者の生死が3年以上不明なとき、C配偶者が強度の精神病を患い、回復の見込みがないとき、Dその他婚姻を継続し難い重大な事由があるときの5点です(民法770条)。夫が単に借金をしているというだけではこの離婚事由と認めることは困難です。ただし、借金により、夫(妻)が長期間家に生活費を入れないとか、夫(妻)が蒸発して行方不明になっているというような事情がある場合は、法定のAあるいはBとして離婚が認められることがあります。
12 とにかく離婚を急ぎたいので、口約束で離婚しても大丈夫ですか?  離婚で問題が多いのは、離婚を急ぐあまり口約束で離婚してしまうケースです。確かに口約束でも離婚届を提出してしまえば離婚は成立します。しかし、この場合、離婚後に子の養育費、財産分与、慰謝料を請求しても相手方がなかなか応じてくれないケースが多くあります。9でも触れましたが、離婚の際には口約束でなく、必ず書面を作成しましょう。
 行政書士は、離婚協議書、離婚給付契約書(公正証書)原案作成を業務としています。また、法律により守秘義務がありますので、安心してご相談ください。
13 財産分与には税金がかかりますか? 1 財産分与をする側にかかる税金
 財産分与の方法により分かれます。
 慰謝料、財産分与とも現金で支払われる場合は、分与する側にも分与を受ける側にも税金はかかりません。これに対し、不動産によって財産分与が行われる場合には、税法上は売買と同様に資産の譲渡と扱われ(分与する側に譲渡所得が生じるとされ)、譲渡所得税がかかることになります。たとえば、土地家屋を財産分与とした場合は、分与をする側はその資産を時価で譲渡したとされます。ただし、この場合の譲渡所得とは、当該不動産の譲渡価格(時価)からその資産を取得の価格(購入価格など)を差し引いた額をいい、土地の値上がりなどによりプラスがあるときは譲渡所得ありとされます。逆に、土地の値下がりなどにより譲渡時の時価が購入価格を下回っていれば、譲渡所得なしとなり、譲渡所得税はかかりません。
 ただし、分与する不動産が自宅であって離婚後に譲渡するような場合は、居住用の不動産の特例(3,000万円の特別控除)が適用されます。

2 財産分与を受ける側にかかる税金
 不相当なものでないかぎり、財産分与を受ける側に贈与税・所得税はかかりません。しかし、不動産を取得した場合は、不動産取得税がかかります。相続の場合の取得には不動産取得税がかからないのと異なりますので、注意が必要です。また、取得後には登記が必要となりますが、この場合には登録免許税もかかります。
 なお、不動産取得税の税率は、取得価格(時価ではなく、固定資産課税台帳の登録価格をいう)の4%です(住宅の場合は3%)。
 以上は概略です。税金の問題は複雑ですので、離婚前に税務署か税理士に相談することをお勧めします。

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